弱視と視覚補助具について
こんにちは!
本部スタッフの「O」です。
前回はロービジョンについて解説しましたが、今回は視覚障害となる弱視と視覚補助具について解説していきます。
1.弱視とは
弱視という言葉は、「通常の教育をうけるのが困難なほどの低視力」という意味で一般的に使われていますが、医学的には「視力の発達が障害されておきた低視力」を指し、眼鏡をかけても視力が十分でない場合をさします。しかし早期発見、早期治療で治療可能であると言われています。
・弱視の割合は 50人に1人
・眼鏡・コンタクトをしても1.0 が見えない
・視力の発達する時期に、ピントが合わないために起こる
・視力の発達が停止して弱視に!
網膜にピント(焦点)が合うことにより、正常な視力が得られますが、強い遠視・乱視があると、くっきり見ることができず、視力の発達が停止してしまいます。
2.視覚の感受性期間とは?
視覚に関する脳の感受性は3か月~1歳半頃が最も高く、その後は徐々に低下すると言われています。
・視覚発達にはタイムリミットがあり手遅れになると一生弱視に
・弱視は小学校入学までに治療を完了へ
・視力や立体的にモノ見る機能は、「くっきり見る」ことで6歳頃までに成熟する。
※粟屋 忍:形態覚遮断弱視、日本眼科学会雑誌より引用
3.弱視の早期発見のための3歳児健診の重要性
3歳児健診で弱視を発見し、治療を継続することができれば、ほとんどのこどもは、小学校入学までに眼鏡をかけての視力(矯正視力)が十分成長します。しかし、感受性期を過ぎて視覚の発達が止まってしまった後だと、治療をしても視力の発達は望めず、例え眼鏡をかけたとしても十分な視力を得ることができません。少しでも感受性が高い時期に治療を開始することが重要です。
母子保健法によって市町村は1歳6ヶ月児及び3歳児に対して健診を行う義務がありますが、厚生労働省の「地域保健・健康増進事業報告」(令和元年度)では、3歳児健診は94.6%の受診率という結果でした。
日本の3歳児の人口(2022年10月1日時点)871,000人のうち、おおよそ47,000人が未受診ということになります。50人に1人の割合で弱視と言われていますので、未受診の子どものうち約940人が可能性があると考えることができます。
近年、客観的に異常を推測できるフォトスクリーナーが3歳児健診に導入されています。こどもの視覚異常のスクリーニングに有効な機器として多くの市町村で使われています。
子どもの応答に左右されず客観的に視機能障害を推測できるもので、弱視の原因になる遠視・乱視等の検出が可能です。
※フォトスクリーナー
小児治療用メガネの保険適用
もし、お子さまが弱視治療用眼鏡を必要とする場合、保険適用がありご加入の保険組合から給付されます。
眼鏡の購入金額 | 給付額 |
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40,492円(税込)以下の場合 | 9歳未満の小学生就学児 購入金額×0.7円 未就学児 購入金額×0.8円 |
40,492円(税込)以上の場合 | 9歳未満の小学生就学児 一律 28,344円 未就学児 一律 32,394円 |
申請方法 | 申請書類 |
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ご自身でご加入の健康保険組合に 右記の「必要書類」を提出し、申請してください。 ※詳しくはご加入の健康保険組合または、 お住まいの地域の社会保険事務所、各市区町村の 健康保険窓口にお問い合わせください。 | 1.療養費支給申請書 加入している健康保険組合窓口等にあります 2.医師が発行した「治療用眼鏡等」の処方箋 3.購入した「治療用眼鏡等」の領収書 処方箋の発効日付より後であること |
また、公費(子ども医療助成制度など※)の対象のお子さまは、購入金額と給付額の差額分についても市町村から医療費の助成を受けることができます。
対象年齢や所得制限など、自治体によって異なります。詳しくは、お住まいの各自治体子育て支援課などに、お尋ねください。
※子ども医療助成制度は、自治体により名称が異なります。
4.視覚補助具について
視覚障害やロービジョン、弱視は「見え方に異常があって、日常生活を送るうえで何らかの支障をきたしている状態」のことを指します。
生活を支援する補装具の種類は「矯正眼鏡」、「遮光眼鏡」、「弱視眼鏡」(地域によってはルーペも含む)、「コンタクトレンズ」です。
そのほかには「義眼」、「白杖」、「点字器」などがあります。
ここでは代表的な遮光眼鏡をご紹介します。
●遮光眼鏡
網膜色素変性症により、まぶしさを感じる患者へのまぶしさ緩和を目的に作らましたが、現在では、羞明(眩しさ)を感じる多くの方に有効です。
白内障初期、白内障術後、網膜色素変性症、加齢黄斑変性、緑内障による視野狭窄、その他視神経疾患など、まぶしさにより見えにくさを感じる方に特に有効な視覚補助具です。
【アイメガネからのご案内】
遮光眼鏡はアイメガネでも取り扱っています。詳しくは、お近くのアイメガネをご利用ください。
コラム監修者 岡部 信孝
アイジャパン株式会社 事業開発本部
1級眼鏡作製技能士
公益社団法人 日本眼鏡技術者協会 東京ブロックリーダー
参考文献
公益社団法人 日本眼科医会
STOP!弱視見逃し 3歳児眼科健診における屈折検査の導入と精度管理に向けて